Ziggy

僕の同居人はお姉さんだけかと思っていたら、先週の木曜日に新たな同居人がやってきた。

僕のアパートにはじめて入ってきたとたんに僕に眼を飛ばしてきた。僕のほうが昔からここにいる住人であるために目をそらさずに睨み返したら、いきなり敵は吠え掛かってきた。お姉さんが抑えていなかったら僕は追いかけ回されていたと思う。なんと言う失礼な新人だ。この日から僕のアパートの台所はバリケードベビーゲート)で封鎖されており、僕はアパートの全体、Ziggyという犬は台所で生活している。
このZiggyという新人はなぜ僕のアパートにいるのかお姉さんに問いただしてみた。お姉さんいわく、ルイジアナ州にカタリナというハリケーンが来たときにニューオリンズから救出された犬だといっていって1ヶ月前にようやくルイジアナ州以外でも救出された犬や猫を保管して飼い主が自分のペットを探し出すのを待つという制度が整い、Ziggy君はジョージア州に来たらしい。僕には何の話しかよくわからないが、お姉さんは僕に来年の1月1日まで仲良くしてくれと頼んで話は終わった。1月1日まではルイジアナ州のもともとの飼い主がインターネットでZiggyを捜しだすのを待つらしい。その後は、Ziggy君はルイジアナ州の所有犬でなくなるため、普通に飼い主のいない犬として新しい飼い主さんをみつけると言う過程に入るらしい。
Ziggy君は僕を見ると僕をにらみつけ、そしてほえてくる。僕は最初怖かったが、どうもあのバリケードのおかげで僕のところへは来られないということがわかった。だったらこっちのものだ。先輩として僕が礼儀を教えてやろうと思った。台所のカウンターの上に乗り、Ziggyを見下ろすのだ。Ziggyは僕を見てパニックを起こしたようにほえたり暴れたりしているが、僕は悠々と毛づくろいをしている。こうやって、先輩には礼儀正しく接するように教え込んでいるのだが、なぜかお姉さんにすぐにカウンターから下ろされてしまう。お姉さんも礼儀を教えている間は僕に任せてほしいものだ。