動物園

1週間ぶりの日記である。夏休みになって、どうもおねえさんの病気が僕に移ったらしい。詳しい病名は知らないが、「夏休みの絵日記はまとめて夏の終わりに書く」という重い症状の出る病気である。夏はだらけてしまってなかなかコンピューターの前に座れない。やはり夏はカクテルグラスをデッキチェアーの横に置いてプールサイドでのんびりするのがいい。どうせなら、おねえさんに電話線がなくてもインターネットにつなげるワイヤーフリーのサービスに加入してもらって、プールサイドで日記が書けるようにしてもらおうかな。
さて、お姉さんは土曜日、僕を置いて動物園とやらに行ってきたらしい。僕よりも大きな猫を見たという。僕よりも大きい猫って何と聞いたら、トラとかヒョウのことだって。大きい体でもトラさんは僕と同じような事しているらしい。動物園のトラは日記書くのかな?
アトランタ動物園ではEnrichment Dayという日を設けて動物たちのメンタルヘルスをどうやって保っているか、一般の人に見せてその活動に協力してもらうという日が昨日だったらしい。動物園の動物はいいから、僕のメンタルヘルスをその前に考えてほしいものだが、お姉さんは僕の精神面はお構いなしに僕を何もないアパートに置き去りにしてでかけていってしまった。
普段は一般の人には見せない舞台裏で遊ばせるパズル(プラスチックの入れ物にえさと共に他のものも色々入れて動物がえさを探し当てるようなもの)や、バケツにゲータレードポカリスエットみたいなもの)と果物を入れて凍らしたものを動物にあたえているのを見ることができたらしい。こういうおもちゃは動物が考えないと食事や果物が食べられないようにすることで、なるべく動物園という限られたスペースの中で頭や体を使わせるというプログラムだ。もし動物が自然界に生きていれば色々と頭を働かせないとえさが取れないのに、動物園では時間になるとえさが出るのでは頭の体操にならない。だから動物園では色々な工夫をして動物に頭のエキササイズをさせているのだそうだ。凍った果物をゾウたちは水に入れて転がすことで溶かしながら食べたり、トラはあちこちの枝にぶら下がっている肉を探して食べたりしていたらしい。猿にいたってはコンピューターを使ってゲームをさせたり、光を追っかけさせたりして頭の体操をさせているとのことだ。僕のように日記を書いている僕ほど賢い動物はいないらしいが、絵を描いているトリやサイがいたらしい。お姉さんはこれは使えるといっていたが、まさか僕に絵を描かせるつもりではないだろう。。。
お姉さんは色々なアイディアがあるもんだと感心して帰ってきた。患者さんにも使えるけれど、僕にもパズルを作るといって張り切っている。変なことやらせないで素直にちゃんとご飯を時間通りにくれて、僕と定期的に遊んでくれれば僕は満足なのだが。。。いったいどんなことを僕にやらせようとたくらんでいるのだか。。。お姉さんと同居していくのは大変である。