病理解剖で出てきたものは。。。

先々月、4月24日にアフリカからの大型犬アフリカンマスチフという犬が患者さんとして行動診療科に来ました。彼の名はメジャー君。メジャー君は150ポンド(60キロくらい?)もある大きな2歳の男の子です。このメジャー君、飼い主さんのフィアンセや他の犬たちに対して攻撃行動があるので診療科に来ました。150ポンドの攻撃行動のある犬が来ると、私も結構緊張します。結局攻撃行動は、恐怖からであると診断しました。しかし、彼の行動について詳しく聞くと、なんだか左足を気にしたりすることがあり、最近機敏さがないということも気にかかり、行きつけの獣医さんにいって整形外科検査と神経学検査を受けてきてねといって、行動学的なほうからの薬と行動療法の指導をしてその日の診察は終わりました。
しかし、診断して1ヶ月たち、他の犬に対しての攻撃性とフィアンセを見ただけでうなるような攻撃性は減ったものの、飼い主さんが触るだけで攻撃反応をしたり、ベッドから出ると、二日酔いみたいに千鳥足になるというのです。私の出した薬の副作用かな、でも変だな、と思ったので、他の薬(甲状腺機能低下症もあったので、その薬を出されていたのですが、薬を服用した後の甲状腺ホルモンのデータがすごく高かったのに、ホルモン剤を減らしていなかった)の影響かもしれないと思い、甲状腺の薬をちょっと減らして、さらに神経検査をしに獣医さんにまだ行っていないので、いってね、と話をしていました。
しかし、ここ1週間彼の攻撃行動はどんどんおかしな方向に向かいだし、いよいよトイレにも行かなくなってしまったということで、150ポンドの攻撃する犬を狭いアパートで飼うのは、無理ということで安楽死を選びました。しかし、彼の攻撃行動自体、腑に落ちない事だらけで、飼い主さんにお願いして病理解剖をさせてもらいました。
体のほうは何も異常が見られず、脳を開けてもらうと。。。。。。

右の側脳室のところに薄ピンクのカリフラワー状の異物が出てきました。腫瘍なのか、感染症なのか、まだ分かりませんが、脳の真ん中に直径2センチくらいのものが育っていたらそりゃ、変な行動するようになるよね。。今までがんばっていたメージャー君に皆で手を合わせ、そして安楽死を選んだことに胸をなでおろしました。これ以上無理して分からないまま治療しても(MRIで診断がついても治療は難しいでしょうし)メジャー君が苦しむだけですものね。