小太郎との微妙な距離

小太郎が予防注射を受けている間、私の診療する獣医行動学診療科は午前は猫の症例、午後は犬の症例と忙しい1日を過ごしていました。行動学は1例につき診察に3時間くらいかかってしまうので、新しい症例の場合は1日に2件しか診ることができません。朝の症例は自分の尻尾を追っかけて尻尾を攻撃して噛み千切ってしまうという猫でした。自分の尻尾をにらみつけて攻撃しているのです。とりあえず神経学的には異常がないので、たぶん行動学的な問題でしょう。筋電図やMRIなどを使って、わずかな可能性の残る神経学的な異常を全部完全に鑑別診断したわけではないので、はっきりとは診断しきれませんが、たぶん脅迫性障害であると診断しました。私の博士課程の専門は実はこの強迫性障害についてなので、張り切って治療させていただきました。尻尾を攻撃する猫が私の診察室にいる隣で、わが猫は注射を打たれて叫んでいました。隣の診察室はうるさいな〜、と思ったら。。。うちの子でしたか。たかだか6キロの猫の採血に5人がかりで抑えられていました。そんなに暴れましたか、すみません。後で、小太郎を担当した学生さんに、小太郎を行動診療科に連れて行ったほうがいいですよといわれてしまいました。もちろん冗談でですけれども。。行動診療科に小太郎の予約、入れようかしら。。。。
この注射事件の後、小太郎は私から30センチ以内に近づいてくれませんでした。すっかり信用を失ってしまったようです。また注射を忘れたら仲良くしてくれるかしら。今日も、私が抱こうとすると逃げていきます。さみしい。。。小太郎のためにやっているのよ〜!!かなりお金もかかっているし。。。
ちなみに、私はアメリカの獣医師免許を持っていないので、我猫の健康診断書がかけません。学校内での診療行為は、学校からの仮免許(日本の免許を認めてくれました)で行っているのですが、アメリカと日本の政府(検疫施設)には、アメリカから日本への輸入に当たっては、アメリカの獣医師が診ないといけないと書いてあるので、ちゃんと予約を入れてお隣の診察科の獣医師に小太郎の診察をしてもらっているのです。多分私よりお隣の先生のほうがずっとずっと腕はいいと思うので、安心して小太郎をお任せできます。しかし、小太郎、すごい雄たけびでした。。。。