シーザー ミラン

シーザー ミランとは、ナショナルジオグラフィックというケーブルチャンネルのDog Whispererというテレビ番組の中に出てくる犬のトレーナーさんの名前です。
何かの間違いで多くのテレビ番組が観られるようになった私、ナショナルジオグラフィックのシーザーミランのショーも観られるようになってしまいました。このショー、アメリカでめちゃくちゃ人気があるのです。シーザーミランという人が、行動に問題のある犬たちをトレーニングで次々に改善していくというものなのですが、私は嫌いなんです。私以外でも、犬の行動を本当に知っている人、アメリカ獣医行動学専門医たち、獣医行動学研究会、APDT(家庭犬トレーニング協会)など、このショーに対してナショナルジオグラフィックに抗議と中止を求める手紙を書いているのですが、人気が勝てしまって、ショーは続いています。
彼はいいことも言うのですが、何が大きな問題か、というと、彼は、学習の理論、動物行動学(犬)を知らないのに、すべての問題は、犬が人間より優位に立っているからちゃんとコレクション(体罰ですね)を入れろ、とそれだけ言って治療して歩いているのです。見ていると、犬たちがかわいそうでなりません。犬が「怖い!」といっているのに、このトレーナーさんは、「ほら、あなたより犬が優位に立っていますよ」といって、首をチョークチェーンで絞めるのです。。。。。。犬の行動を知らないと、彼はすごい腕のいいトレーナーに見えるので、それが問題なのです。よく観ると、テレビで写っていないところで犬の首絞めが行われていたり、犬の舌が青くなっていたり、犬が呼吸困難の後の深い呼吸を始めたり。。。
ミキシーの犬のトレーニングのグループ内で、このショーのショーであるところ(ドラマチックにできていますからねー)にだまされてしまっている人たちが、日本にもこの番組が入ってほしいといっているのですが、このショーが入ってきたら、私はこのショーを買ったテレビ局に中止を求める手紙を書きますからねー。
このショーのロケーション隊が今度アトランタにやってくるそうです。彼のテクニックによって、テレビでは何とかなってももっと症状がひどくなった犬たちが多分私たちの行動診療室にやってくると思われるので、私の後任者は、大変でしょうなー。カリフォルニア大学の獣医行動診療所は、シーザーにダメージを受けた犬たちが来ているらしいですし、もう2回ほど、彼、飼い主に訴えられているし(1匹はランニングマシーンの上で転んだだめに首が絞まってしまって、生き延びましたが、相当な身体的、精神的ダメージを受けてしまった犬の飼い主さん)。。。はー。。。