馬のトレーニング

上の写真をよくご覧ください。なんと、騎乗している人間は手綱なしで乗っているのです。紐が首にかかっているだけで、人間はそれを軽く持っているだけなのです。何故これがすごいことかというと。。。
馬の調教そして、騎乗の際に馬のコントロールは、すべて陰性強化法(negative reinforcement)という方法で行われています。馬の手綱は馬の口の中にある「ハミ」というものにつながっており、人が手綱を引っ張ると、口の横がぎゅーっとひぱられて唇にたくさん神経が集中している馬に痛みを与えるのです。手綱を人が引くと、馬は口の横が痛いので、歩く(あるいは走る)のをやめます。そうすると、人間は手綱を引くのをやめるので、痛みはなくなります。ですから、馬は、痛みをなくすために止まるという行動をするわけです。右の手綱をひっぱると右側の唇が痛むので、右に曲がると、痛みが治まるので、右に曲がる、また走らせるときは馬のおなかをちょっと先のとがった(あるいはかかと)モノでぎゅーっとおすので、痛いから走ると、痛みが治まる、馬の世界ではそういう訓練、そして騎乗法が一般的(普通)です。
しかし、この前遊びに行ったロシアからの馬のトレーナーさんは、合図として馬のおなかをちょっと押したりしてもいいけれど、痛みを与えるのでなく、うまくできたら褒美を与えた方が馬と人の関係もよくなるのではないか、馬も楽しめるのではないか、と馬の騎乗トレーニング、そして地上トレーニングに陽性強化法(positive reinforcement)を使っているのです。
というわけで、彼女は、全くハミ、手綱、乗馬用の針のついた長靴、鞍をつけないで馬に乗って色々なドレサージュテクニックをみせてくれました。馬も痛みのない、褒美を使った訓練ができるはずという学問上の常識を実際に見せてくれました。
今後、馬と人に優しい乗馬法がどんどん広がることを願ってやみません。日本に帰ったら彼女のやり方を試してみようかなー。