パーキンソン氏病???

私の勤める獣医教育病院にREM睡眠障害が出ている猫が来ました。深い眠りに入るとこの猫ちゃんはてんかんのような発作が出るのです。発作はかなりひどく、猫はその発作のせいで寝ている台から落ちたりしているらしいのです。飼い主さんは猫がそのうち大きな怪我をするのではないかと心配していました。最初は病院の脳神経科にかかっていたのですが、てんかんの薬はまったく利かず、MRIの結果も何も異常が認められず、私のいる行動科(精神科)に来ました。初診は5月だったのですが、私はちょうどフロリダにいっていて職場におらず、私のボスが診て、とりあえず、やっぱりてんかんと言うことで、他の抗てんかん剤を投与しました。
猫は結局その薬でもよくならず、逆にふらふらするようになってしまったのです。再診でその猫が私の元に来たのはつい2日前でした。
通常患者さんが来院される前、私は学生たちと来院予定の患者さんについて話し合いをします。この猫は珍しい症例で、人間だと、パーキンソン病で、REM睡眠が障害されるけれど、動物ではあるのかな、なんて話をしていました。猫ちゃんの飼い主さんと症状やてんかんらしきものが出るときの状況などの話をしながら、行動異常ではなく、てんかんでもないかもしれなくて、何か、脳の障害があるのかもしれないけれど、よく分からないと正直に話をしていました。その間、優秀な獣医の学生さんたちは猫の様子をじっと観察していたようでした。
猫を診察室から検査室に連れて行って身体検査や血液検査の間、学生さんが、パーキソン病は動物では珍しいのですか、耳をよく見るとずっとピクピク動かしているし、首をがくがくさせているのですけれども。。。と言い出しました。もしかして本当にパーキソン病なのかしら。。。ということで、飼い主さんに、猫での報告がないけれども、パーキソン病である可能性もある、なんて話をしたら、家でも体が、がくがくしていることがよくあるとのことでした。
飼い主さんに、もしパーキソン病だったら治療はどうするのですか、どういう予後なのですか、と色々聞かれましたが、何せ報告がないので、答えられず、また確定診断もできていないので、なんともいえない症例でした。
私のボスが休暇からもどってきたら、脳神経科の先生とまた話をしようかな、と思っています。