Cesar Milanというドッグトレーナー

アメリカではNational Geographicという美しい写真を沢山載せた雑誌があって、この会社はテレビ局も持っています。動物や自然に関するテレビ番組を美しく撮ることで有名なテレビ局ですが、昨年 シーザー ミラン というカリフォルニアにいるドッグトレーナーの話を放映していました。この男性は、なかなかかわいい顔をしたカリスマ性のあるドッグトレーナーさんなのですが、彼のドッグトレーニングの方法はちょっと問題があるのです。ドッグトレーニングの話をここでしても面白くないので、簡単にまとめれば、彼の方法はまったく動物の学習という科学を無視したもので、でもテレビやちょっと目にはなかなか早く結論が出るように写るのです。それゆえ、問題行動をする犬たちをリハビリしますということで、問題行動をする犬の家庭に彼が出向いていって犬をトレーニングし、飼い主に話をしてこんなことをするといいですよとデモンストレーションをし、問題行動が治った、よかった、というショーなのです。
このDog Whispererというショー、ある学生がシリーズを全部ビデオにとってくれました。そして私、ジョージア大学の獣医教育病院で獣医行動学の研修医をやっていて、学生に獣医行動学を教える身分のものとして、このビデオは実にいい教材となるのです。ビデオに写る犬のボディーランゲージを読ませる(いかにシーザーが言っていることと本当に犬が言っていることが違うかと理解させるため)、トレーニングの方法は何を使っていてどうしてこれがよくないのか、いい部分はあるのか、あるとしたらどこか、動物の行動を読める私たちはどういう方法を用いるべきか、などの話し合いの材料になります。
シーザーミランさん、かなりめちゃくちゃなやり方で、サイエンスをまったく無視したドッグトレーニングを展開してテレビに出ていますが、なかなかいい、「こうしたら絶対にいけない」という見本を作ってくれています。ありがとうというべきなのかしら?
何故いきなりこんな話をしたかというと。。。今日、来院予定の患者さんがキャンセルになったので、問題のビデオで学生さんたちと楽しく学習の時を過ごしたので、話題にさせていただきました。