エリーという馬

♪泣かせたこともなく、冷たくしてもなお、。。。エリー、My love、so sweet。。。♪
本当にこの歌詞でいいのかしら?そう、あのエリー、懐かしい名前です。そして昨年から治療しているすばらしくきれいな雌馬の名前も、エリー。エリーちゃんは、泣かされる方ではなく、人を泣かすほうの行動をします。そう、めちゃくちゃ人間恐怖症が強くて、人間、いぬ、他の馬に対してとても攻撃的なのです。馬ですから、蹴り、噛み、あばれ、と何でもありです。手もつけられないエリーちゃんは、人が上に乗るとすばらしくいい馬だそうです。どうも、変なトレーニングを受けていたのでしょう、人に近づかれたりするのが駄目なようです。エリーちゃんのいる馬房に近づくと、他の馬たちは、耳を立てて私たちの様子を伺っているのに、エリーちゃんは耳を寝かせっぱなしで威嚇しまくります。
エリーちゃんはとても危険なので、人間で言う抗うつ剤を飲んでいます。何故攻撃行動に抗鬱剤を与えるのかは、専門的な話になりますので、ここではご勘弁。最近はずいぶんおとなしくなってきました。いまや、飼い主さんや馬房のマネージャーさんが褒美(にんじんやりんご)を使って人間が近づいても怖くないというトレーニングまで出来るようになってきました。クリッカーレーニングとなるものをやっています。
エリーちゃんはとてもきれいな馬なので、飼い主さんはエリーちゃんに子供を生まさせてあげようと思いました。今エリーちゃんは妊娠4ヶ月。妊婦馬になってまたまたより攻撃行動が減ったようです。出産予定日は4月3日。赤ちゃんはすぐに取り上げてしまうということですが、出産したエリーちゃんはどうなるのでしょうか?今目が離せない患者さんの一人です。